大学の未来が心配になるニュース
私がハワイで暮らす中で、ハワイ大学(University of Hawaii:UH)は地域の教育・研究を支える重要な存在だと日々感じています。そんな中、連邦政府による予算削減でUHが大きな影響を受けているというニュースは、地元民として非常にショックです。特に気候変動や持続可能性といった分野に強みを持つUHが、その研究資金を失うというのは、世界的にも大きな損失だと思います。
36の研究プログラムが終了・縮小
4月15日時点で、UHでは36の研究プログラムが終了、または停止命令を受け、もしくは段階的な縮小に追い込まれているとのことです。これにより40名の職員が影響を受けており、さらなるプログラムの削減と雇用喪失も予想されています。UHシステムのウェンディ・ヘンセル学長は、「この動きは、ワシントンD.C.の政治判断によって引き起こされており、大学に深刻な影響をもたらしている」と述べています。
多様性・気候変動・健康格差などが対象
削減されたプログラムは、主に多様性・公平性・包括性・アクセシビリティ(DEIA)、持続可能性、再生可能エネルギー、気候変動、マイノリティの健康格差など、現政権が優先しなくなった分野に集中しています。これらは、まさにハワイ大学が得意としてきた研究分野であり、地域社会と密接につながったテーマでもあります。
教育省の閉鎖命令がさらなる打撃に
トランプ前大統領は3月20日に連邦教育省の閉鎖を命じる大統領令を署名しました。実施には議会承認が必要ですが、すでに省内では職員削減や業務再配置が進んでおり、学生ローンの管理を含む多くのプログラムが影響を受けています。教育省はUHにとって3番目に大きな資金提供元であり、100以上のプログラムと276名の職員に関わっています。
研究資金回収率の制限も
さらに、エネルギー省が間接経費回収を15%に制限する新政策を導入したことで、UHの2,600万ドルに影響が及ぶ可能性もあります。この政策に対しては大学側が訴訟を起こし、4月中旬に一時差し止め命令が出されたばかりです。
NOAAの人員削減・気候研究の廃止も懸念
全米海洋大気庁(NOAA)でもスタッフの20%削減と気候研究の廃止が発表されており、気候科学の国際的研究拠点であるUHにとっては大きな打撃です。UHはこれまで、ハワイという地理的優位性を活かして海洋・気象分野に強みを持っていました。
学生数の減少と財政対応策
これらの困難に加え、UHは学生数の減少にも直面しており、学内では採用方針の見直しや、必要最小限の出張制限など財政的な対策を実施しています。ヘンセル学長は「今この瞬間に対応し、同時に将来を見据えた対応策も講じている」と述べています。
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