「また値上げ?」と感じたけれど、理由を知って納得
私がハワイに移住してから観光業に関する制度変更には何度も注目してきましたが、今回の宿泊税の引き上げは、個人的にも非常に気になるニュースでした。「また観光客への負担増か」と感じた一方で、その背景にある“環境保護”という明確な目的を知ると、観光地としてのハワイの将来にとっては重要な一歩だと感じます。今や旅行者も環境意識の高い時代、正しく使われるなら、こうした税制も支持されるべきだと思います。
「グリーンフィー」導入決定、環境保全を目的とした税金
2025年のハワイ州議会で可決された法案により、2026年1月1日から新たに**「グリーンフィー(Green Fee)」と呼ばれる0.75%の追加課税**が導入されることになりました。この課税は、既存の宿泊税に加算される形で、州内のホテル、タイムシェア、バケーションレンタル、短期宿泊施設すべてに適用されます。
税率の変化と実際の負担
現在、ハワイ州では以下のような課税が行われています:
- 宿泊税(TAT):10.25%(2025年末まで)
- 郡宿泊税:3.0%(各郡共通)
- 一般消費税(GET):4.712%(全商品・サービスに適用)
今回の改定により、宿泊税は10.25% → **11.0%に引き上げられ、総合的な宿泊関連課税は合計18.712%**となります。これは全米でも最も高い水準に入る可能性があります。
クルーズ船にも新たな課税を導入
今回の法案では、ハワイに寄港するクルーズ船の乗客にも11%の新税が課されることになります。課税額は滞在日数に応じて日割りで計算され、滞在型観光の一形態であるクルーズ旅行からも資金を確保する仕組みです。
税収の用途:気候変動への対応と災害対策
この税金で得られる年間約1億ドル(約150億円)の収益は、主に以下のような環境保護や防災プロジェクトに使われる予定です:
- ワイキキなどでの砂浜再生プロジェクト
- 強風・ハリケーン対策としての屋根固定用金具(クリップ)の普及支援
- ラハイナ大火の要因となった外来可燃植物の除去作業
これらは、近年頻発している気候災害に対してハワイが自衛するための取り組みでもあり、持続可能な観光の土台づくりとも言えるでしょう。
観光業界の反応と懸念
ハワイの観光業界では、環境対策への理解を示す一方で、「観光客離れ」への懸念もあります。特に、同等の自然環境を持つフロリダや他州に旅行者が流れる可能性を指摘する声も。マウイホテル・ロッジング協会のジョン・ペレ氏は、「この税が旅行者の心理にどう影響するかは、今後を見守る必要がある」とコメントしています。
州知事の意見と法案の確定時期
ハワイ州知事ジョシュ・グリーン氏はこの法案を「世代を超えた環境保護の決意」だとし、2025年7月9日までに署名する意向を表明しています。成立後は、予定通り2026年1月1日より新税が施行されます。
旅行者の理解を得るためには「見える使い道」が鍵
税制変更において重要なのは、「どこにどう使われているかの透明性」です。旅行者の声でも「環境対策に本当に使われるなら納得できる」という意見が多く、今後は使途の報告やプロジェクト成果の可視化が、観光業の持続に向けた信頼構築の鍵となりそうです。
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