昇給率にがっかり…私も感じた「今年は厳しい」ムード
今年に入り、社内での給与改定の時期を迎えた私ですが、正直「去年より上がり幅が小さい?」という印象を受けました。同僚とも話してみたところ、やはり同じように感じている人が多く、これは自分の業績だけの問題ではなさそうです。
実際、ハワイだけではなく、米国全体でも2025年の昇給率は当初の予測より低い水準にとどまっているようです。景気の減速や労働市場の変化、そして最近の関税政策などが複合的に影響しているといわれています。給与の上昇が鈍化している今、自分のキャリア戦略や収入の伸ばし方を見直す時期かもしれません。
予測よりも低い昇給率
2025年3月に実施されたMercer社の「QuickPulse U.S. Compensation Planning Survey」によると、今年の米国における平均的な成果ベースの昇給率は3.2%。これは、企業が2024年末に予測していた3.3%をわずかに下回る結果です。
また、**昇給全体(成果・昇進・生活費調整を含む)では3.5%**の上昇となり、これも2024年時点で想定されていた3.7%に届いていません。2024年の実績と比較しても、成果ベース昇給(3.3%)・昇給全体(3.6%)のいずれも今年は若干下がっており、給与水準の伸び悩みが続いているといえます。
業界別で見る昇給格差
昇給率には業界間で差がありました。**ヘルスケアサービス業界では成果昇給が2.8%、小売業界は3.0%**と平均を下回っています。一方、保険業界やサービス業では3.7%~3.8%の昇給率を記録し、好調な部門もあることがわかります。
業界により昇給水準が異なるため、自分のキャリアパスや転職活動を考える際には、こうした業界動向も無視できません。
昇進が昇給の鍵に
企業の回答によると、昇進を伴う昇給は平均8.5%にも達しており、通常の成果昇給より大きな伸びが見込めるとのことです。2025年には従業員の約10%が昇進予定で、これは前年の8%よりも上昇しています。
つまり、「給料を上げたいなら昇進を狙うべき」という明確な傾向が出ているといえるでしょう。
成績による昇給格差も顕著
企業の44%が使用している5段階評価制度によると、**最上位評価を受けた従業員の平均昇給率は5.6%**に達する一方、**中間評価の従業員は3.3%**にとどまるという結果が出ています。パフォーマンス評価が給与に直結している現実を、より強く感じさせるデータです。
最低賃金と時給労働者の課題
調査によれば、全体の最低時給の平均は$17.50。ただし、Mercer社の別の調査によると、時給労働者の60%しか給与に満足していないのに対し、年俸制従業員では78%が満足と回答しており、大きな差が生じています。
Mercerの専門家は、時給労働者の満足度向上のためには「単なる最低賃金の引き上げでは不十分」と指摘しています。スキルベースのキャリアパスや福利厚生の拡充など、総合的な報酬戦略の必要性が強調されています。
関税の影響と将来の不透明感
WTW社の調査では、56%の企業経営者が「従業員が賃金に関する不安を抱いている」と認識しています。背景には、トランプ政権による新たな関税措置が影響しています。4月に全世界を対象にした10%の関税、特に中国製品に対する高関税が導入され、市場も一時混乱しました。
とはいえ、企業側の48%は「今年の昇給には影響なし」と回答しつつ、「来年の予算に影響が出る可能性がある」ともしており、先行きへの不安は拭えません。
賃金成長は落ち着きつつも依然高水準
アトランタ連邦準備銀行によると、**2025年3月の年次賃金成長率は4.3%**で、昨年同時期とほぼ同じ水準。パンデミック最盛期の2022年8月には6.7%という高成長を記録していましたが、現在は安定に向かっている状況です。
それでも、コロナ前の3~4%の成長率よりは依然として高めであることから、インフレや経済政策とのバランスを注視する必要があります。
おわりに
2025年は昇給に対する期待感がやや冷ややかな年となっています。業績だけではなく、業界や評価制度、昇進機会など複数の要素が絡む中で、個人としてどんな価値を生み出すかがますます重要になっています。私自身も、ただ待つだけではなく、自らのスキルやキャリア戦略を磨くことの大切さを再認識しました。
参照:
アトランタ連邦準備銀行 Wage Growth Tracker
Mercer「QuickPulse U.S. Compensation Planning Survey」(2025年3月)
WTW(旧Willis Towers Watson)ビジネスアドバイザリー調査
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