苦境をチャンスに変える、マウイ女性起業家の挑戦
私が住むハワイでは、ローカルビジネスの動きに元気をもらうことがよくあります。特に、2023年のマウイ島大火災のあと、観光客の減少によって多くの飲食店やお土産店が苦境に立たされました。その中で、LunchBox Mauiというサンドイッチ店を立ち上げ、見事に成功させた女性起業家がいます。マウイの料理人であり起業家のハイディ・クレイマーさんです。
彼女の言葉を借りれば、「この1年は、ビジネスオーナーとして人生で最も厳しい1年だった」。それでも諦めずに新ブランドLunchBoxを立ち上げ、月を追うごとに成長させてきました。そして今、ついに2号店がカフルイにオープンすることに。地元で奮闘するビジネスの成功例として、多くの人に勇気を与えてくれる話です。
大火災の影響と「Cookie Lab」の売上激減
ハイディさんはもともと「Maui Cookie Lab」を運営しており、ホテルのアメニティやイベント向けのクッキー販売を行っていました。しかし、2023年の山火事によって観光客が激減し、売上の80〜90%を失う深刻な打撃を受けたといいます。特にホテル向けの卸販売はほぼストップし、イベント関係の売上も激減。
そこで彼女は「新たな収益源が必要」と考え、2024年4月にマカワオ地区にLunchBox Mauiの1号店をオープンしました。
初の飲食業態「LunchBox」が順調に成長中
LunchBoxは、日々店内で焼き上げるチャバタパンを使ったサンドイッチを中心に、キッシュやサラダ、スープ、ペイストリー、コーヒーなどを提供するカフェスタイルの店舗です。オープン当初は「自分が食べたいと思えるサンドイッチ店がなかったから」というシンプルな動機だったとのこと。
しかしこの試みは功を奏し、地元客に支持されてオープン以来、月ごとに売上が成長。特にマカワオはローカルには人気のある地域ですが、アクセスがやや不便なため、「カフルイにも出店してほしい」という声が多かったそうです。
カフルイ店でさらなる展開へ
そして2025年5月、彼女のもう一つの拠点であるMaui Cookie Labの店舗スペースを活用し、LunchBoxの2号店をカフルイにオープンしました。
カフルイはホテルや観光スポットにも近いため、より多くの人にLunchBoxを届けられる立地です。さらに、この店舗では既にLunchBoxの商品を製造していたため、新メニューの開発や拡充も容易とのこと。実際、マカワオ店では製造設備の都合で出せなかったレシピの実現にも期待が集まっています。
店舗スペースを有効活用しカフェスタイルに進化
カフルイ店では大掛かりな工事は行わず、インテリアをカフェ仕様に調整し、テーブル・椅子の設置やWi-Fiの提供など、より快適に利用できる空間を演出。今後はスタッフの増員も計画中で、数名の採用活動が進められています。
ピンチをチャンスに変える力が地域を救う
「ピボット(方向転換)する力がビジネスには必要」と語るハイディさんの姿勢は、困難に立ち向かう全ての起業家のロールモデルといえるでしょう。マウイが少しずつ回復の兆しを見せる中で、地元発のブランドが地道に成長を遂げる姿は、地域全体にポジティブなエネルギーを与えてくれます。
観光でマウイを訪れる方も、地元の味と物語が詰まったLunchBox Mauiのサンドイッチをぜひ味わってみてください。
参照
- Pacific Business News
- LunchBox Maui公式Instagram: @lunchboxmaui
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