【アメリカ】リモートワークに揺れる職場:見えない圧力と学歴の価値

オフィス回帰、静かな解雇…働く人に問われる「我慢強さ」

ハワイ・ホノルルで日々リモートとオフィスのハイブリッドワークを続けている私にとって、最近の「出社回帰」の流れはどこか他人事ではありませんでした。コロナ禍を経て自由になった働き方が、再び「管理された空間」に戻されようとしているような感覚。しかも最近は、明確な解雇ではなく、「静かに辞めさせる」手法まで企業が取り始めているというのですから、驚きを隠せません。

リモートワークは確かに業務の効率や生活の自由度を高めましたが、その一方で「見えない管理」や「孤独感」も生まれたのも事実です。しかし2025年に入ってから、多くの企業が再びオフィス勤務を強化しはじめ、特に若い世代の知識労働者に強い影響を与えています。

さらに、給与の話題になると、「修士号」が持つ象徴的な価値だけで年収が大きく変わるケースが多いという調査結果も出ています。実力よりも「肩書」が重視される現実に、少なからずがっかりしている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、以下の3つのテーマを軸に、アメリカの最新職場事情を要約しつつ、私の視点も交えて深掘りしていきます。





出社強制の波が若年層に直撃

Z世代に厳しいオフィス勤務義務

2025年に入ってから、アメリカでは再び「出社義務」が広がっています。ビデオ会議ソリューション企業Owl Labsの調査によると、回答者の47%が「出社命令が出された」、または「出社日数が増えた」と感じています。特にZ世代(25歳以下)の知識労働者にとっては82%という高い割合がこの影響を受けています。

  • 週5日出社:19%
  • 週3日出社:10%
  • 週4日出社:6%
  • 週2日以下:12%

この流れに対し、企業側は「障害などを理由とする合理的配慮」と「単なる柔軟性の希望」を明確に分けて対応する必要があると専門家は指摘しています。これは働く側にとっても非常に重要なポイントです。

出典:Owl Labs調査(2025年)


「静かに辞めさせる」企業の裏戦略

セクハラや解雇ではない「追い出し術」

明確な解雇を避け、報道リスクや退職金コストを回避するために、「Quiet Firing(静かな解雇)」が増加しています。これは、社員を明確に解雇せず、環境を悪化させて自主退職に追い込む戦略です。

ResumeTemplates社が行った1,128人のビジネスリーダーへの調査によると、53%がこの手法を活用しているとのことです。

主な手段は:

  • 昇給の延期:47%
  • 出社日数の増加:42%
  • 福利厚生の削減:32%

このような施策は一見、コスト削減や人員整理に有効に見えますが、職場全体の士気や信頼、採用ブランドに深刻なダメージを与える可能性が高いと専門家は警告しています。

出典:ResumeTemplates社調査(2025年)


修士号がもたらす“給料の錯覚”

成果と無関係でも昇給の理由に

高度な学位を持つことが実際の業績にどう影響するのか。Resume Geniusが行った1,000人の採用担当者への調査では、以下のような結果が出ています:

  • 62%:「修士号は業務成果を向上させない」
  • 52%:「修士号保有者と学士+2年経験者のパフォーマンスは同等」
  • 10%:「修士号保有者の方がパフォーマンスが劣る」

しかし矛盾するように、**72%**の企業が「修士号保持者には高い給与を提示する」と回答し、**23%**は「20%以上の昇給を与える」と答えています。

これは、学位が実力の証明というよりも「将来の可能性」という印象を与えるための“投資”として見なされていることを示しています。採用担当者が「即戦力」よりも「印象」を優先する姿勢に、現場の実務者として私は少し違和感を覚えます。

出典:Resume Genius調査(2025年)


終わりに:働き方の“見えない格差”にどう立ち向かうか

リモートワークの権利や給与の公平性、そして健全な職場文化。これらはすべて、「声に出しづらい」問題です。しかし私たち働く側が現状を知り、静かにおかしいと感じることを少しずつ発信していくことで、企業のあり方も少しずつ変わっていくのではないでしょうか。

特に出社義務や静かな解雇のような「グレーゾーン」が広がる今だからこそ、声なき声に耳を傾け、学歴や環境による“見えない格差”を自覚し、自分のキャリアの選択肢を冷静に見極める力が求められています。

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