小さな島のホテル売却が持つ意味
モロカイ島はハワイ諸島の中でも特に観光開発が進んでいない島として知られ、観光客よりもローカルの暮らしが色濃く残る“フレンドリーアイランド”の愛称を持っています。そんな島の象徴的存在である「Hotel Molokai」が、本土の投資家に売却されたというニュースは、ハワイ全体の観光産業の流れを考える上でも見逃せません。
このホテルは1968年建設の59室規模で、モロカイ島では数少ない宿泊施設のひとつ。売却価格は非公開ですが、昨年の売り出し価格は490万ドル(約7億円強)でした。今回の取引で注目すべきは、既存スタッフ全員の雇用継続と、コミュニティとの結びつきを重視するという買い手の姿勢。こうした配慮は、観光業と地元文化が共存するために不可欠なポイントです。
しかし、島全体のホテル数が限られている中で、本土資本が入ることはサービスの質向上や施設改修のチャンスである一方、価格や文化面での“地元らしさ”が失われる懸念もあります。特にモロカイ島は観光客の急増による影響を避けたいと考える住民が多く、過去には大規模リゾート開発の反対運動も行われました。
ハワイ全体で見ると、最近のホテルやリゾートの取引は本土資本によるものが目立ちます。ホノルルの大型ホテルはもちろん、カウアイ島やハワイ島の歴史的ホテルまで対象となっており、投資回収のために料金や運営方針が変わるケースも少なくありません。
私は、この売却が単なるオーナー交代ではなく、島の未来像を左右する出来事になる可能性があると感じます。観光と地域文化のバランスをどう取るのか、そしてこのホテルが“モロカイらしさ”を守り続けられるのか。これからの運営方針が大きなカギとなるでしょう。
モロカイ島の数少ないホテルが売却
カウナカカイに位置する「Hotel Molokai」が、Molokai Hotel Group(本土投資家関連企業)に売却されました。売却額は非公開ですが、昨年の売出価格は490万ドルでした。
51室を取得、8室は個別所有
ホテルは59室のうち8室が個人所有のコンドミニアム。Molokai Hotel Groupは残り51室を取得しました。
スタッフ全員の雇用継続
売却条件のひとつとして、長年勤務してきたホテルスタッフ全員を引き続き雇用。地域との関係を重視する方針です。
改修資金も確保
ホテルのオーナー組合に付随する110万ドル以上の改修予備費が含まれており、施設アップグレードが可能な状態です。2024年の純営業利益は約26万ドル。
過去の所有履歴
2004年にはメリーランド州のTravel Advantage Networkが取得。その後、Blue Island Property Holdingsが所有していました。
他ホテル売却案件も進行中
今回の取引を仲介したスタンダード・コマーシャル社は、現在ハワイ島の歴史的ホテル「マナゴホテル」も売却案件として扱っています。
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