ワイキキの景色が変わる再開発に期待
私はホノルルに住んでいることもあり、ワイキキ周辺を散歩することがよくあります。最近は新しいホテルやコンドミニアムの開発が続き、街の景観が少しずつ変わっていくのを間近で感じています。観光地として世界的に有名なワイキキですが、その一方で古いオフィスビルや利用されなくなった建物が点在しているのも事実です。そうした場所が再開発され、観光客やビジネス客にとって新しい滞在先となるのは、地域全体の活性化に大きく寄与します。
今回話題となっているのは、カラカウア通り1833番地にある10階建てのオフィスタワー。かつてPacific Business Newsのオフィスが入っていたこの建物を、あの「パンダエクスプレス」の創業者、アンドリュー＆ペギー・チャン夫妻がホテルに改装するというニュースです。ブランドはマリオット系列の「レジデンス・イン」で、長期滞在型のホテルとして生まれ変わります。
このニュースを聞いたとき、私がまず思ったのは「ワイキキのホテル事情にとってちょうど良い補強になる」ということです。観光客はもちろん、出張で長めに滞在するビジネス客や、家族でキッチン付きの部屋を利用したい人にとって、レジデンス・インのような施設は非常に便利です。さらに、アラワイ運河を渡ればハワイ・コンベンションセンターが目の前にあり、イベントや国際会議に参加する人々にも理想的な立地と言えるでしょう。
旧オフィスビルをホテルに再生
カラカウア通り1833番地に位置する10階建てのオフィスビルは、2017年に1,430万ドルで購入されました。元々はPacific Business Newsのオフィスが入居していた建物で、今回の改装計画の総額は5,350万ドル。最新の許可申請では内装解体費用だけで100万ドル規模となっています。
マリオットのレジデンス・インブランドを採用
改装後は「レジデンス・イン・バイ・マリオット」として営業予定。長期滞在型ホテルブランドであり、客室にはキッチンや広いリビングスペースを備え、観光客だけでなくビジネス利用やファミリー層の需要も見込まれます。ワイキキのホテル市場において、従来のリゾート型とは異なる選択肢を提供する点で差別化が期待されます。
関与する開発業者と施工
改装工事には、Bureau Veritas、Commercial Plumbing、Swinerton、Wasa Electrical Servicesといった業者が関わっています。大規模な設備更新が行われることで、建物自体の資産価値も大きく向上します。
パンダエクスプレス創業者夫妻の不動産戦略
アンドリュー＆ペギー・チャン夫妻は、ハワイにおいて2016年以降20件以上の不動産取引を行ってきました。内容は住宅物件、パンダエクスプレスやレイジングケインズ（ハワイでのフランチャイズ権を保有）などの店舗、そして今回のような大型商業施設の開発まで多岐にわたります。
他の大型開発とのつながり
夫妻はカリフォルニアの不動産開発会社「Kam Sang Co.」のティファニー・ラム氏とも関わりが深く、同社はオアフ島コオリナ地区で20億ドル規模のアトランティス・リゾート計画を進めています。ラスベガスのマンダリンオリエンタルを買収し、ウォルドルフ・アストリアにブランド転換した実績もあり、観光産業への影響力は年々増しています。
ワイキキの宿泊市場の現状
ワイキキは世界有数の観光地であり、ホテル稼働率は全米平均を大きく上回る水準が続いています。2024年のデータでは、平均稼働率は約78％、特に繁忙期には90％を超えることもあります。加えて、ホテル1室あたりの収益（RevPAR）は全米トップクラスで、観光産業の強さを裏付けています。こうした背景が、新たなホテル開発を後押ししているのです。
競合ブランドとの比較
ワイキキにはヒルトン、ハイアット、シェラトンなどのリゾート型ホテルが多数存在しますが、長期滞在型に特化した施設は限られています。キッチン付きでファミリーや長期旅行者を対象にしたレジデンス・インは、既存ブランドとの差別化が可能です。競合にあたるのはアストンやアクア系列のコンドミニアム型ホテルですが、マリオットブランドの信頼性とロイヤリティプログラムの存在は強力な集客要因となります。
ワイキキの未来像と地元への影響
ワイキキはすでにホテルの密集地として知られていますが、近年は観光客の多様化に合わせて宿泊施設の選択肢が増える傾向にあります。レジデンス・インのような長期滞在型ホテルは、これまで不足していたニーズを補完する存在になるでしょう。また、再開発によって周辺の飲食店や交通機関の利用も増加し、地域経済への波及効果も期待されます。
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