「アロハの心」がつないだ41年——ホノルルの朝に響いた歓声を胸に
ホノルルの朝を象徴するイベントといえば、私にとって真っ先に思い浮かぶのが**「グレート・アロハ・ラン(Great Aloha Run)」**です。
2月の清々しい風の中、数千人のランナーが笑顔で走り抜ける光景——それは単なるスポーツイベントではなく、ハワイの“アロハ・スピリット”を形にした祭典でした。
しかし、その「グレート・アロハ・ラン」が41年の歴史に幕を閉じることになったと知り、胸にぽっかりと穴が開いたような気持ちです。
主催者によると、2025年2月に開催されたレースを最後に、イベントは「最終ゴールラインを越えた」として終了を発表。創設者であり長年運営に携わってきたキャロル・カイ・オノウエ氏が完全に引退することを受けての決断でした。
ハワイに暮らす私たちにとって、この大会は単なる“走るイベント”ではなく、「地域の絆」と「寄付の力」を実感できる場でした。ボランティアの笑顔、地元企業のチームランナー、沿道で声援を送る家族たち——すべてが“コミュニティそのもの”を象徴していました。
このイベントが生み出した温かい波紋は、数字では語り尽くせません。
創設者キャロル・カイ氏の情熱が生んだ市民の祭典
グレート・アロハ・ランは1985年、地元歌手で慈善家としても知られるキャロル・カイ・オノウエ氏と、ホノルルマラソン創設者で心臓専門医の故ジャック・スカフ氏によって始まりました。
最初は小規模な大会でしたが、年々規模を拡大し、現在では世界中から約12,000人が参加する人気イベントへと成長。ランナーズ・ワールド誌の「全米100大ロードレース」にも選出されるほどの名声を得ました。
カイ氏は大会の目的を「チャリティのため」と明確にしており、これまでにハワイ全土の200以上の非営利団体に約2,000万ドル(約30億円)を寄付。
また、1993年からは子ども向けイベント「ケイキ・グレート・アロハ・ラン」も開催し、地元の学校に25万ドル以上を寄付してきました。
職場と地域をつなぐ「ヘルス&ウェルネス」プログラム
もう一つの大きな特徴は、**企業参加プログラム「プレジデンツ・クラブ」**の存在でした。
ハワイ中の企業チームが健康増進を目的にレースへ参加し、職場の仲間同士が“健康”と“絆”をテーマに汗を流しました。
私の勤務先でも、過去にチームでエントリーしたことがあり、早朝のアロハスタジアムからダウンタウンまでの約13キロを走りながら、自然と同僚との距離が縮まったのを覚えています。
この大会が企業文化や地域社会の一体感を育ててきたことは間違いありません。
感謝の言葉とともに、次の世代へバトンを託す
大会終了の発表に際し、カイ氏は次のようなコメントを残しています。
「グレート・アロハ・ランは、いつの時代も人々をつなぎ、意味のある活動を支え、前向きな力を生み出すものでした。ボランティアやスポンサー、参加者の皆さんに心から感謝しています。」
さらに彼女は、
「レースは終わっても、“アロハの心”は生き続けてほしい。いつか誰かがこの精神を新しい形で受け継いでくれたら、それが私にとって最高の贈り物です。」
と語りました。
彼女の言葉には、単なるイベント主催者としてではなく、地域を愛し、人と人をつなぐ架け橋としての信念が込められています。
走り抜けた“アロハの道”が残したもの
41年間にわたって続いたこのイベントは、ハワイの人々の心に深く刻まれました。
多くの市民がボランティアとして参加し、家族で応援に訪れ、企業が社会貢献として関わる——まさに**「走ることを通じたコミュニティづくり」**の象徴でした。
その精神は今後も、ハワイ各地のチャリティイベントや地域活動の中で受け継がれていくでしょう。
カイ氏が語ったように、「いつか誰かがこの火を引き継ぐ」日が来ることを、多くの市民が願っています。
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