【アメリカ】オフィス回帰の波、最も影響を受けているのは誰か?

テレワークに慣れた私たちの働き方は変わるのか?

ハワイでリモートワークを続けてきた私にとって、オフィス出勤という働き方は今や少し懐かしい響きがあります。朝のラッシュや通勤疲れ、そして時間に縛られる感覚。コロナ禍で多くの企業が導入した柔軟な働き方は、生活の質を大きく高めてくれました。しかし、2025年に入り、全米の企業で「オフィス回帰(Return-to-Office)」の動きが加速しているようです。特に若い世代や柔軟性を求める人たちにとっては、大きな試練となっています。今回は、最新の調査データをもとに、オフィス回帰がもたらす影響と、今後の働き方の行方について掘り下げてみたいと思います。





RTO指示が加速、柔軟性の時代に終止符?

ビデオ会議ツール企業Owl Labsが実施した調査によれば、2025年現在、47%のナレッジワーカーが「出社命令」が出ている、もしくはオフィス勤務の頻度が増えていると回答しました。

特にZ世代では82%が出社を求められており、若い労働者が最も影響を受けていることがわかります。


勤務頻度の内訳は以下の通りです:

  • 週5日出社:19%
  • 週4日出社:6%
  • 週3日出社:10%
  • 週2日以下:12%


このように企業ごとに方針はばらばらながらも、全体として柔軟な働き方は減少傾向にあります。


若年層ほど離職傾向が強い

オフィス勤務の義務化に対して、労働者の反応は二極化しています。

Owl Labsの調査によれば:

  • 出社命令に好意的:37%
  • 気にしない:38%
  • 不満:16%


不満を感じる労働者の中で、66%が「もっと柔軟な仕事を探している」と回答し、
その割合はZ世代で84%
、ミレニアル世代で**79%**にのぼります。


離職と人材不足という企業のジレンマ

経済調査団体The Conference Boardによると、出社義務を設けている企業は2025年現在で**56%**に達し、過去3年で最も高い割合となっています。

一方で、離職率の上昇が問題になっており、出社を義務付けている企業では44%が人材の定着に課題を抱えていると回答。さらに62%が「適切な人材が見つからない」と回答しており、出社命令が採用難を加速させている現実が浮かび上がっています。


法的対応とリモート希望の増加

法律事務所Littlerの調査では、**48%の企業が「オフィス勤務を増やした」**または「増やすことを検討中」と答えています。

それに伴い、56%の企業でリモート勤務の要望が増加しており、今後は職場の合理的配慮に関する訴訟も増えると予想されています。

同事務所の弁護士アレクシス・ナップ氏は、「リモート勤務のリクエストには、法的義務とそうでない柔軟性の希望を明確に区別する必要がある」と指摘しています。


給料よりも柔軟性?働く人々の価値観

求人サービスLiveCareerの調査では、**回答者の91%が「出社命令を受けた知人がいる」**と答えています。


さらに、

  • 出社命令に従わなかった結果、解雇された:86%
  • 口頭または書面での注意を受けた:次点
  • 15%の昇給よりリモートを選ぶ:66%


これらの結果から、働く人々がいかに**「柔軟な働き方」に価値を置いているか**が分かります。

別の調査(FTI Consulting)では、**現在の給料のままフル出社を求められたら「転職を考える」人が70%**にのぼり、働き方の柔軟性はすでに“報酬”と同等の重みを持ち始めているようです。


オフィス回帰はもはや逆風か?

最後に、TopResumeの調査によると、

  • 65%の労働者は昇給によって出社を受け入れる可能性あり
  • 54%は柔軟な勤務時間を求めている
  • 同じく54%は「オフィス勤務はワークライフバランスに悪影響」と感じている


これらの数字は、働く人々が単に「どこで働くか」ではなく、**「どう働くか」**に強い関心を持っていることを物語っています。


ハワイ在住サラリーマンとして思うこと

私自身、リモートワークによって家族と過ごす時間が増えたり、通勤のストレスから解放されたりと、多くの恩恵を感じてきました。もちろん、対面の良さやオフィスでのコラボレーションの大切さも理解しています。ただ、それを一律の「義務」として押し付けるのではなく、個人の事情や業務内容に応じた柔軟な対応が、今後の鍵になるのではないでしょうか。

企業にとっても、優秀な人材を引き留めるためには「給料」だけではなく、「自由度のある働き方」がより重要になってくる時代が来ていると感じています。




出典情報:

  • Owl Labs調査レポート(2025年)
  • The Conference Board人材調査(2025年)
  • Littler法律調査(2025年)
  • LiveCareer就業者意識調査(2025年)
  • FTI Consultingハイブリッド勤務レポート
  • TopResume労働者意識調査

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