【アメリカ】修士号の評価と給与アップの関係

給与に影響する「学歴」の本音と建前

私がホノルルで会社員として働く中で、アメリカの採用現場では「学歴」に対する考え方が年々変化しているのを感じています。特に最近注目されているのが「修士号(Master’s degree)の価値」です。実務経験が重視される今、「大学院卒=即戦力」とは限らないという空気がある一方で、企業は依然としてその肩書にお金を払っています。

私自身もキャリアアップを考える中で、「学位を取るべきか、それともスキルや経験を積むべきか」と何度も悩みました。そんな中、最近の調査結果がその葛藤に答えをくれるような内容でした。この記事では、雇用者が実際に修士号をどう評価し、給与にどう反映しているかを詳しく解説します。





実務能力は「修士号だけでは決まらない」

キャリア支援企業Resume Geniusが実施した調査(2025年)では、62%の採用担当者が「修士号は仕事のパフォーマンスを向上させない」と回答。さらに:

  • 52%は「学士号+実務2年」と同等と評価
  • 10%は「修士号の方がパフォーマンスが劣る」と回答

つまり、多くの雇用者は修士号を「必ずしも即戦力ではない」と見ているのです。


それでも「修士号にはお金を払う」

パフォーマンスには懐疑的でも、72%の雇用者は修士号保持者に対して給与を上乗せすると回答。さらに23%は「20%以上の昇給を検討する」としています

Resume Geniusのキャリア専門家Eva Chan氏はこう語ります:

「学歴=即戦力ではないが、修士号は“将来性”や“努力の証”として見られており、給与に反映されている」

この発言は、現場での即戦力と、象徴的な価値のバランスが採用の現場でいかに重視されているかを示しています。


若い世代ほど修士号の価値を信じている

修士号の評価は世代によっても大きく異なります。以下のような傾向が見られました:

  • Z世代(Gen Z):47%が「修士号でパフォーマンスが上がる」と回答
  • ミレニアル世代・X世代:38%
  • ベビーブーマー世代:35%

また、給与面でもZ世代の80%、ミレニアルの78%が給与アップに前向きであるのに対し、**X世代は67%、ベビーブーマーは62%**とやや保守的です。


「修士号=2年の経験」に相当

企業が活用するRadford社のキャリアラダー制度では、修士号は「2年間の実務経験と同等」として評価されています。これは、経験がない若手が給与交渉の際に使える「裏付け」とも言えるでしょう。


修士号が強みとなる業界と、そうでない業界

Eva Chan氏によると、金融、行政、教育、医療といった「伝統的な業界」では修士号の価値が高く、給与にも反映されやすい傾向があります。一方で、テック、メディア、スタートアップなどの分野では、実務経験やスキルの方が重視されるとのこと。

つまり、業界によって「学歴か経験か」のバランスが異なるのです。


修士号取得の判断ポイント

Chan氏は、「すべての人が修士号を取るべきとは限らない」としつつ、次のような助言をしています:

  • 伝統産業では修士号が有利に働く
  • テック業界などでは、スキルと実績の方が重要
  • 費用対効果を意識して判断すべき

私自身も「肩書き」に頼るのではなく、「実力を証明できる行動と成果」を積み上げることが大切だと改めて感じました。修士号を取るかどうかは、「何を目指すか」によって変わるということですね。


まとめ:肩書きの時代から「意味ある証明」の時代へ

修士号は今でも多くの職場で評価され、給与にも反映される一方で、「即戦力」という点では疑問視されているのが現実です。しかし、だからといって学歴が無意味になるわけではありません。むしろ、学歴と経験をどう組み合わせて自分の強みに変えていくかが、これからの時代のカギになるのだと思います。

アメリカでも、日本でも、働き方やキャリア観が多様化している今、私たち一人ひとりが「自分にとって最も価値のある道」を見つけることが何よりも大切です。




出典:

  • Resume Genius 2025年 雇用調査レポート
  • Radford Career Ladder制度分析

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