【マウイ島】老舗食堂Sam Sato’sが世代を超えて愛され続ける理由

「変わらない味」がここにある。家族の歴史と共に受け継がれる名店

私がハワイで生活する中で、時折「変わらない味」に心を動かされることがあります。それは決して豪華な食事ではなく、むしろ昔ながらのシンプルな料理だったりします。そんな“変わらない美味しさ”を貫いて、マウイ島の人々に長年愛され続けているのが、**Sam Sato’s(サム・サトーズ)**です。

この食堂は1933年、創業者であるサム・サトー氏とその妻グラディスさんによって開かれました。それ以来、なんと90年以上の歴史を持つ老舗。現在は3代目のカーク・トマさんが経営し、両親のチャールズさん(79歳)とリンさんも現役で店に立ち続けています。

驚くべきは、彼らが今も毎日ランチタイムの仕込みのために店に通っているという事実です。世代を超えて受け継がれてきたこの店の料理には、家族の想いが詰まっています。





ノスタルジーと満足感を運ぶ定番メニュー

ドライ・ミン(汁なし麺)が大人気

Sam Sato’sの看板メニューは何といっても「ドライ・ミン(dry mein)」。スープのない焼きそば風の麺料理で、トマ家秘伝の特製ソースが使われています。このレシピはリンさんだけが知る秘密だそうで、その味を求めて何世代にもわたる常連客が通い続けています。

他にも、手作りのマンズ(manju、和菓子)やチーズバーガーも人気で、地元の人はもちろん、観光客にもその噂は広まり、今やマウイ観光の定番グルメスポットになっています。


世代を超えて通う理由

「子供の頃からの味」を家族で共有する文化

カークさんはインタビューで、「小さい頃から店を手伝い、成長と共に自然と店を継ぐと決めていた」と語っています。そして、面白いのは客層の変遷。かつて子どもだった常連客が、大人になって自分の子どもを連れて来る…というように、Sam Sato’sは家族の記憶の一部として地域に根付いているのです。

こうした文化は、ハワイならではの温かさを感じさせてくれます。多くの人にとって「味」そのものが、家族との思い出や昔の暮らしと直結しているのでしょう。


原材料高騰の波にも工夫で対応

「できる限り手ごろな価格」を維持

昨今の食材費高騰の影響は、この老舗にも及んでいます。カークさんは「残念ながら価格を上げざるを得なかったが、できる限りお手頃に保っている」と語っています。

地元の常連にとっても、観光客にとっても、Sam Sato’sの魅力は美味しさと価格のバランス。この信念があるからこそ、店は変わらず支持され続けているのでしょう。


スモールビジネスとしての誇り

家族経営だからこそ守れる味とサービス

2025年には、カークさんとリンさんが**全米中小企業庁(SBA)よりマウイ郡の「スモールビジネス・パーソン・オブ・ザ・イヤー」**として表彰されました。これは、彼らだけでなく店で働くスタッフ全員の努力の賜物だと、カークさんは強調しています。

毎日出勤し、厨房で働き、客と接する──。それは、単なる「ビジネス」ではなく、「地域と共にある生活」なのです。


Sam Sato’sの基本情報

  • 住所:1750 Wili Pa Loop, Wailuku, HI 96793
  • 電話番号:808-244-7124
  • 営業時間:午前〜ランチタイム中心(詳細は現地で要確認)
  • 創業:1933年
  • 代表メニュー:ドライ・ミン、マンズ、チーズバーガー


まとめ:変わらない味が、家族と街の記憶をつなぐ

Sam Sato’sは、マウイの地で90年以上にわたり愛されてきたローカルグルメの象徴です。流行や時代の変化に迎合せず、あえて変わらないことを選んだその姿勢には、地域への深い愛情と誇りが込められています。

私自身も、機会があればぜひこの店を訪れ、何気ない日常の中にある特別な味を体験してみたいと思いました。もしあなたがマウイを訪れることがあれば、Sam Sato’sを旅の一部に加えてみてはいかがでしょうか。


参考情報

  • Pacific Business News “Family-owned Maui eatery Sam Sato’s draws generations of loyal patrons”(2025年6月)
  • Sam Sato’s 公式情報およびローカルレビュー

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