新しい選択肢が増える航空マイレージの世界
ハワイに住んでいると、飛行機での移動が生活の一部のように感じられます。特にオアフ島から近隣の島々へ行く際は短距離フライトが多く、アメリカ本土やアジアへ行くときは長距離フライトが中心になります。私自身も仕事やプライベートで国内外を行き来することがあり、どのマイレージプログラムを使えば効率的にポイントを貯められるのか、常に関心を持ってきました。
これまでハワイアン航空の「HawaiianMiles」とアラスカ航空の「Mileage Plan」は、それぞれ独自の特徴があり、どちらを選ぶべきか迷う場面も多かったと思います。しかし今回、両社のプログラムが統合され、新たに「Atmos Rewards」という統一プログラムが誕生することになりました。正直なところ、名前だけを聞いたときは少し抽象的に感じましたが、よく調べてみると「選べる」仕組みが導入されており、利用者にとってメリットが大きいと感じています。
特に面白いのは、ポイントの貯め方を自分のフライトスタイルに合わせて選べる点です。長距離派、短距離派、あるいは運賃に応じた効率重視派といった具合に、利用者の行動パターンを柔軟に取り込もうとする姿勢は、これまでの硬直的なマイレージ制度にはなかった進化です。私自身はハワイ–日本路線のような長距離利用も多いため、「飛行距離に応じた加算方式」が一番合っていそうです。一方で、ネイバーアイランドを頻繁に移動する人にとっては「1区間あたり固定ポイント」方式が分かりやすく得になるでしょう。
さらに、クレジットカードのブランド刷新や上級会員向けの特典強化も含め、今後のアラスカ航空とハワイアン航空の戦略が透けて見えるのも興味深い点です。単なるマイル制度の統合ではなく、両社が一体となってより大きなネットワークを作り、顧客ロイヤリティを高めるための重要な布石だと感じます。今後、ハワイ発着便の利便性がさらに向上し、地元住民にとっても観光客にとっても使いやすい制度へと発展していくことを期待しています。
プログラム統合の背景
アラスカ航空は2023年にハワイアン航空を19億ドルで買収し、両社の一体運営を進めてきました。その流れの中で、2025年10月1日から「Atmos Rewards」として新しいロイヤリティプログラムがスタートします。
- HawaiianMiles会員は自動的にAtmos Rewardsに移行
- Mileage Plan会員は既存のアカウント番号を保持しつつ「マイル」が「ポイント」に名称変更
- 価値や有効期限は従来通り
つまり、既存会員は特別な手続きをしなくてもスムーズに統合されます。
ポイント加算方式の詳細
Atmos Rewardsの最大の特徴は「加算方式を選べる」ことです。利用開始は2026年から予定されています。
- 距離方式:1マイル=1ポイント
→ 長距離フライト利用者向け(例:ホノルル–東京) - 金額方式:1ドル=5ポイント
→ 高運賃を支払う人やビジネスクラス利用者向け - 区間方式:1フライト=500ポイント固定
→ 短距離・頻繁利用者向け(例:ホノルル–マウイ)
実際のケースで試算
ホノルル–東京(往復約8,000マイル、運賃1,000ドルと仮定)
- 距離方式:8,000ポイント
- 金額方式:5,000ポイント
- 区間方式:2区間×500=1,000ポイント
👉 長距離国際線では「距離方式」が圧倒的に有利。
ホノルル–マウイ(片道約100マイル、往復200マイル、運賃150ドルと仮定)
- 距離方式:200ポイント
- 金額方式:750ポイント
- 区間方式:2区間×500=1,000ポイント
👉 短距離路線では「区間方式」がもっとも効率的。
このように、自分のフライトスタイルによって選ぶ最適解が変わるのがポイントです。
クレジットカードの刷新
既存のアラスカ航空カードは「Atmos Rewards Ascent Visa Signature」などにリブランドされ、従来の特典はそのまま維持されます。
- 年1回のコンパニオンフェア(同行者99ドル)
- 無料受託手荷物
- 対象航空券で3倍ポイント
さらに、新カード「Atmos Rewards Summit Visa Infinite」が登場。年会費395ドルですが、上級会員資格獲得が早まり、ラウンジ利用、グローバルな特典が付帯されます。頻繁に旅行する人にとってはコスト以上の価値があるでしょう。
上級会員向け特典
- Atmos Titanium:ビジネスクラス無料アップグレード(同行者1名も対象)
- 2026年以降:ハワイアン航空の北米線でも無料アップグレード適用
- 2027年:ホノルル空港に「Premium Lounge」新設
従来よりもハワイ出発便での利便性が高まり、上級会員の価値が向上しています。
ネットワーク拡大とサービス改善
- 2026年:シアトルからローマ、ロンドン、レイキャビクへ新規就航
- 2030年までにシアトル発12都市の国際線展開予定
- Starlink高速Wi-Fiを全機材に導入(2027年完了予定)
- 会員は無料で利用可能
これにより、単に「マイルが貯まる」だけでなく、フライト体験そのものが進化していきます。
コミュニティとの連携
Atmos Rewardsは「Atmos Communities」という会員グループを導入予定です。
- Huakai by Hawaiian:ハワイ在住者向け
- Club 49:アラスカ在住者向け
- 将来的には「ファミリー旅行」「ウェルネス」などテーマ別コミュニティも追加
航空会社のプログラムとしてはユニークな取り組みで、地域や趣味に密着した交流ができる点は新しい試みといえます。
まとめ
Atmos Rewardsは、単なる統合ではなく「顧客の多様な旅行スタイルを取り込む」新しい発想に基づいたプログラムです。
- 長距離派 → 距離方式
- 短距離派 → 区間方式
- 高運賃利用者 → 金額方式
これらを柔軟に選択できることで、より多くの人にメリットが行き渡る設計になっています。今後、ハワイ在住者にとっても旅行者にとっても使いやすいプログラムになることは間違いないでしょう。
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