ワイキキのホテル再編、静かに進む資本の波
ワイキキの街を歩いていると、観光客の賑わいの裏で静かに変化が進んでいることに気づきます。近年、ハワイのホテル業界はパンデミック以降の観光回復に伴い、再編と投資の動きが活発化しています。特に、外資系や米本土の投資ファンドによる土地やホテルの取得は顕著です。
私自身、ホノルルに住んでいると、ワイキキの街並みが少しずつ変わっていくのを実感します。老舗のホテルが新しい名前に変わったり、以前は見慣れなかったブランドが登場したり。観光客には華やかに映るこの街も、裏側では「不動産」としての価値の高まりが確実に進行しています。
そんな中、今回話題になったのが「オアシスホテル・ワイキキ」の土地取引です。小規模ながら個性あるブティックホテルの背後に、ニューヨークの大手投資会社が動いているという事実は、ハワイの観光業と不動産市場の新たな局面を象徴しているように感じます。
ニューヨークの投資会社がワイキキに進出
2025年7月、ニューヨーク拠点のホスピタリティ投資会社「イーグルポイント・ホテル・パートナーズ(Eagle Point Hotel Partners)」が、ワイキキの「オアシスホテル・ワイキキ(Oasis Hotel Waikiki)」の土地を約2,300万ドル(約23億円)で購入しました。
売却したのは、地元の不動産会社「ハワイ・セキテイ(Hawaii Sekitei Corp.)」で、取引は公的記録により確認されています。オアシスホテルは全96室のブティックスタイルのホテルで、リッツ・カールトン・レジデンスの裏手、ルワーズ通り沿いという好立地にあります。
過去の投資実績とワイキキでの動き
イーグルポイントは過去10年以上にわたり、ハワイでのホテル投資を積極的に行ってきました。これまでに「サーフジャックホテル(Surfjack Hotel)」「カウアイビーチリゾート」「ホリデイ・イン・エクスプレス・ワイキキ(旧マイレスカイコート)」などに関与しています。
また、かつて「アクアホテルズ(Aqua Hotels)」の投資家でもあり、当時「アクア・オアシス・ホテル」として運営されていたこの施設との関係も深いようです。今回の買収に関してイーグルポイント側からのコメントは得られていませんが、過去の動きを見る限り、長期的なホテル資産の再構築を狙っている可能性があります。
オアシスホテルの歩みと再生の軌跡
「オアシスホテル・ワイキキ」は、2014年に約250万ドルを投じてリノベーションを実施し、その際に旧名称「ワイキキ・ジョイ・ホテル」から現在の名称へと変更されました。
さらに、2021年には隣接する駐車場跡地に新たなホテル建設計画も浮上しましたが、現時点では実現していません。
このように、施設の更新や周辺開発の動きはあるものの、土地所有権の移転が今後どのように運営方針へ影響するのか注目されます。
不動産市場の回復と高額取引の波
今回のオアシスホテルの取引は、ハイアットリージェンシー・ワイキキ・ビーチリゾートの土地(2億1,500万ドル)売却の約1か月前に成立しました。
ハワイ全体では、ホテル売買は依然として鈍い傾向にありますが、商業不動産取引全体としては活発化の兆しを見せています。
ワイキキの地価上昇と観光需要の回復が進む中で、土地資産の価値が再評価されているのです。私が感じるのは、これらのニュースが単なる投資話ではなく、「ハワイというブランド価値」がいかに世界の資本市場で注目されているかを示しているということです。
まとめ:変わりゆくワイキキの街並み
ワイキキのような観光地では、ホテルやレストランの入れ替わりは珍しくありません。しかし、近年の取引は「地元企業から本土資本へ」という構図が強まりつつあります。
観光を軸としたハワイ経済は、今後もこうした外資の流入によって形を変えていくでしょう。
その一方で、ローカル企業や文化の存在をどう守っていくかも、私たちに問われているテーマだと感じます。
これからも、ワイキキの街がどのように変わっていくのか、注目していきたいと思います。
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