ハワイの誇りだったドラマの終了に思う
私も毎週楽しみにしていたドラマ「Rescue HI-Surf」が、わずか1シーズンで打ち切られるというニュースを見て、驚きと寂しさを隠せませんでした。作品は、ノースショアのリアルなライフガードたちの活躍を描き、ハワイの自然や文化を世界に届けてくれていました。特に、制作陣のほとんどが地元出身という点に強く惹かれていました。ハワイに住む者として、地元の才能が生かされる場が減っていくのは、本当に残念でなりません。私のお気に入りのドラマで2シーズンを心待ちにしていたので、本当に残念です。今回の打ち切りが業界に与える影響の大きさを、改めて実感しています。
地元に根ざした作品の突然の終了
FOXが制作していたテレビシリーズ「Rescue HI-Surf」は、2025年5月に1シーズン限りで打ち切られることが正式に発表されました。同作は、地元ハワイ出身の俳優やスタッフが多数参加し、リアルな水難救助の現場を描いた作品として注目されていました。撮影には、ノースショアの絶景を活用し、多くの視聴者を魅了していました。
失われる雇用と未来への不安
この作品には、撮影チームの約90%が地元ハワイの労働者で構成されており、IATSE Local 665(全米舞台作業員同盟)の800名のメンバーも多数関与していました。打ち切りによって、彼らの雇用は不安定となり、次の仕事の目処が立たない状態が続いています。
税制優遇の遅れが原因の一つ
打ち切りの背景には、ハワイの撮影インセンティブ(税制優遇)が他州と比べて劣っているという構造的問題もあります。オアフ島では22%、隣島では27%の税控除がありますが、全米の他の主要なロケ地ではそれ以上の支援が行われています。今年の州議会でも、税制強化案は見送られ、支援拡大の道は遠い状況です。
業界のプロたちが本土へ流出の危機
「Rescue HI-Surf」で水上撮影監督を務めたブライアン・ケアウラナ氏や、俳優・スタントマンのウェスト・ルクレイ氏は、ハワイでの仕事が激減している現状に危機感を募らせています。「ハワイに残るか、キャリアを諦めるか」という選択肢を迫られている地元のクリエイターは少なくありません。
州の経済と観光への影響も大きい
2024年だけで、ハワイの映像制作による経済効果は3億2000万ドル以上とされており、ドラマの放映はハワイを全世界にアピールする「最高の観光CM」とも言われています。例えば、プライムタイムの60秒CMが40万ドルかかるとすれば、1エピソードは1600万ドル分の宣伝効果に匹敵すると考えられています。
州の今後の対策とわずかな希望
ハワイ州産業経済開発観光局(DBEDT)は、今後も映像産業への支援を継続すると発表しています。現在は新たなシリーズ企画、インディペンデント映画、リアリティ番組など、いくつかの案件が水面下で動いているとのことです。ただし、現時点では大規模な作品の予定はなく、状況の回復には時間がかかると見られています。
地元の才能を守るために必要なこと
ハワイには世界レベルの才能が揃っています。しかし、それを支える制度と場がなければ、彼らは他州や海外へ流出してしまうでしょう。「Rescue HI-Surf」の打ち切りは、ただのドラマ終了ではなく、クリエイティブ産業の転換点であると強く感じます。州や業界、視聴者が一体となって、この大切な産業を守っていく努力が求められています。
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