【ラナイ島】水道業界に変化 商業用最大手が住宅用サービスへ本格進出

小さな島の大きな変化に期待――地域密着の水道業が新たなステージへ

ホノルルに住む私にとって、ラナイ島は「手つかずのハワイ」が残る特別な場所です。観光開発が進むオアフ島とは異なり、静かで、どこか昔ながらのハワイの雰囲気が漂っています。そんなラナイ島で今、地元密着のサービスが大きく変わろうとしています。

島唯一の住宅用水道業者である「リッキーズ・プラミング」が、ハワイ州最大の水道工事会社「コマーシャル・プラミング」に譲渡されたというニュースを見て、最初は少し驚きました。しかもこの譲渡は、売却ではなく「無償提供」。その背景には、島の未来を見据えた決断と、家族と地域への深い想いが込められていました。

この記事では、ラナイ島における水道業界の再編と、それが地域社会に与える影響について詳しく掘り下げていきます。





ラナイ島唯一の住宅水道業者が譲渡

リッキーズ・プラミング、40年の歴史に一区切り

1983年に創業し、長年ラナイ島の住宅用配管を一手に担ってきた「リッキーズ・プラミング」。オーナーのリッキー・サンチェス氏は、2025年7月1日付で同社を無償で「コマーシャル・プラミング」に譲渡しました。

この決断の背景には、彼自身が新たにラナイ島の開発を担う「プラマ・ラナイ社」へ移籍することがあったとのこと。彼は今後、プラマ・ラナイの従業員育成に携わる予定であり、島に残る住民のためにサービスを絶やさないために、自社を信頼できる相手に託したというわけです。

現在同社を支えているのは、息子のランドン氏と甥のアルヴィロ氏の2名で、彼らは今後コマーシャル・プラミングの一員として、組合に加入して働くことになります。


商業最大手が住宅市場にも本格参入

コマーシャル・プラミング、ラナイ島での存在感強まる

「コマーシャル・プランビング」はハワイ州最大規模の配管工事会社で、200人以上の従業員を擁し、ホノルルに本社を構えています。これまでにもラナイ島では商業用のプロジェクトを手がけてきましたが、今回の買収により住宅用サービスにも本格的に進出します。

同社の社長であるランダル・ヒラキ氏は、「今回の買収により、ラナイ島の住宅と商業の両方の配管サービスを一手に担うことになる」と述べています。

さらに今後は、ホノルルからスタッフを派遣し、人員体制を強化する計画とのこと。島内の工業地帯に小規模な倉庫も開設予定で、本格的な拠点としての機能も整えていく方針です。


エリソン氏による開発が進むラナイ島

インフラ整備に伴い、配管サービスの需要も増加

ラナイ島は現在、オラクル創業者で大富豪のラリー・エリソン氏が約98%の土地を所有し、彼の開発会社「プラマ・ラナイ」が空港の拡張や住宅開発、産業パークの建設などを進めています。

こうした背景から、今後もラナイ島では建築やインフラ関連の需要が高まると予想されており、配管業界にとっても大きなビジネスチャンスとなりそうです。

ヒラキ氏は「住宅だけでなく、より大規模な商業プロジェクトにも積極的に関わっていく」と意気込みを語っており、今回の買収はまさにその第一歩と言えるでしょう。


地域住民にとってのメリットと課題

サービスの安定化と地元雇用の維持が鍵

リッキー氏によれば、これまで島で唯一の住宅用水道業者として、ほぼ週7日対応が必要だったそうです。電話1本で駆けつける生活は、体力的にも精神的にも過酷だったとのこと。今回の買収により、こうした過重労働が分散され、サービス体制も安定することが期待されます。

また、雇用の面でも、リッキー氏の息子や甥が引き続き島で働き続けられる点や、今後の需要増に伴い新たな地元雇用が生まれる可能性もあります。

ただし、島民の中には大手企業によるサービス集中に不安を感じる声もあるかもしれません。価格維持や対応の柔軟性など、これまでリッキー氏が築いてきた信頼を、今後も維持していけるかどうかが問われるでしょう。


終わりに:地域の未来を担う“静かなバトンタッチ”

ラナイ島の今回の配管業界再編は、単なる企業買収ではなく、地域社会にとって重要な意味を持つ“バトンタッチ”です。

住民にとっては、長年慣れ親しんだ顔が見えなくなる寂しさもあるかもしれませんが、新たな体制のもとで、より効率的で安定したサービスが受けられることは大きな前進です。

そして、開発が進むラナイ島で、今後どのようなインフラ整備がなされるのか。その動向を見守りつつ、地域の声が置き去りにされないような持続可能な発展を願いたいと思います。

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