ハワイアン航空がアマゾンと築く新たな空のビジネスの可能性
私がホノルルで暮らしているからこそ、ハワイアン航空の動向には常に注目しています。ハワイの空の玄関口を担う航空会社がどのように発展していくのかは、島の未来に直結するからです。今回、ハワイアン航空がアマゾンから提供された貨物専用機の10機目を受領し、ついに契約機がすべて揃ったというニュースが入ってきました。
これは、ハワイの航空業界だけでなく、アメリカ本土を含めた物流業界にも大きなインパクトを与える動きだと私は感じています。
実はこの貨物機事業は、アマゾンとハワイアン航空の提携によって始まったもので、2023年にアラスカ航空がハワイアン航空を買収した際に、そのまま契約が引き継がれました。アラスカ航空とハワイアン航空が一体化したことで、アメリカ本土、アジア、太平洋地域を結ぶ広大なネットワークが形成されつつあります。
「アマゾンの貨物機がハワイにどれだけ関わっているのか?」という点については、実際にはホノルルにも多少立ち寄るものの、主な運航ルートはアメリカ本土内が中心とのこと。しかし、それでも私たちローカルにとっては、ハワイアン航空が単なる観光客向け航空会社ではなく「物流の要」としても成長していくことに大きな期待を感じます。
アラスカ航空のCEOが語ったように、「シドニーからボストンまで」や「アラスカの新鮮なサーモンを日本へ」など、単独の航空会社では難しかったルートが、この提携により実現可能になったのは非常に興味深い点です。ハワイが世界の物流拠点の一つとしての存在感を強める日も近いのではないでしょうか。
アマゾンとの貨物機契約の完了
アマゾン提供のエアバスA330-300型機が勢揃い
ハワイアン航空は、アマゾン・ドット・コム社が保有するエアバスA330-300貨物機の10機目を受領し、貨物機フリートがついに完成しました。これらの航空機は、アマゾンが所有し、ハワイアン航空が契約に基づき運航する形式です。
この契約は、ハワイアン航空がピーター・イングラム氏のCEO時代に締結されたもので、アラスカ航空がハワイアン航空を買収した際に引き継がれました。アマゾンとの契約は2030年まで続く予定であり、今後の安定的な収益源と位置づけられています。
アメリカ本土を中心に運航、ホノルルにも寄港
ハワイアン航空のCEO、ジョー・スプレイグ氏によれば、貨物機はアメリカ本土を中心に運航されていますが、一部はホノルルにも寄港しています。主な役割はアマゾンの物流網を支えることにあり、アメリカ国内の配送網の強化に寄与しています。
この貨物機事業は、アラスカ航空グループ全体の貨物事業の一翼を担うこととなり、アラスカ航空とハワイアン航空の統合効果が期待されています。
統合によるネットワークの拡充
アラスカ航空の統合により、貨物事業は大きな進展を遂げています。2024年3月には、アラスカ航空とハワイアン航空のネットワークを一元化し、単一の航空運送状(Airway Bill)での貨物予約が可能になりました。これにより、例えばオーストラリアのシドニーからアメリカのボストンまで、あるいはアラスカのサーモンを日本に輸送するなど、より効率的な国際貨物輸送が可能になったのです。
こうしたネットワークの拡張は、単なる貨物輸送だけでなく、アジア太平洋地域との経済的な結びつきを強化する効果もあり、ハワイの地理的優位性が改めて注目されています。
アラスカ航空とアマゾンの相互利益
アラスカ航空は、ハワイアン航空の買収によって、このアマゾンの貨物事業という新たな収益源を獲得しました。2023年12月には、この事業が年間6000万ドル(約94億円)の追加利益を生むと発表されており、アラスカ航空とアマゾン双方にとってウィンウィンの関係が築かれています。
貨物事業で期待されるハワイの経済効果
ハワイにとっても、こうした貨物事業の発展は決して無関係ではありません。観光産業が主軸のハワイ経済ですが、物流や貨物事業の強化は、地域の雇用創出や経済の多様化にもつながる可能性があります。特にパンデミック後、観光だけに依存しない経済構造への転換が課題となっている中で、航空貨物事業は新たな柱となり得るでしょう。
今後の課題と期待
もちろん、貨物事業の拡大に伴う課題も存在します。空港施設の拡充やインフラ整備、環境への配慮など、多角的な視点での対応が求められます。しかし、アラスカ航空・ハワイアン航空・アマゾンという強力なタッグにより、ハワイの物流基盤がさらに発展することを期待したいところです。
私自身、ホノルルに暮らしながら、こうしたニュースが日常の生活にどのように波及していくのかを引き続き見守っていきたいと思います。航空会社の動き一つが、島の未来を形作る要素になると感じる今日この頃です。
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