ブラックストーン、マウイ島のグランド・ワイレアを10億ドルでリファイナンス

ハワイ屈指の高級ホテルが再評価される背景とは

私がホノルルで暮らしていると、ハワイの不動産やホテル業界の動きは日常の話題のひとつです。そんな中、最近のニュースで注目したのが、プライベートエクイティの巨人「ブラックストーン」がマウイ島の超高級ホテル「グランド・ワイレア」のリファイナンス(借り換え)を実行し、総額10億ドルのローン契約を結んだという話題です。

グランド・ワイレアと言えば、ハワイ屈指のラグジュアリーホテル。オーシャンビューの部屋が100%という唯一無二の設計、広大な会議スペース、そしてラグジュアリーな客室の広さなど、まさに「贅沢を極めたホテル」の象徴です。私も以前マウイ島を訪れた際にその外観を目の当たりにし、圧倒された記憶があります。

今回のリファイナンスは、ブラックストーンが2018年にグランド・ワイレアを約11億ドル(約1700億円)で購入して以来の大きな動き。元々はシンガポール政府のソブリンファンドが保有していたこのホテルを買収し、ブラックストーンはこれまでに約3億5370万ドルもの追加投資を行ってきたそうです。現在の評価額は16億ドル、つまり1室あたり約200万ドルという超高額評価がついているとのこと。これは、いかにこのホテルが高い価値を持ち続けているかを示しています。

不動産投資やホテル業界に興味がある方にとって、今回のリファイナンスは「単なる資金調達」以上の意味を持っていると私は考えます。ブラックストーンが売却のタイミングを見計らっているのか、それとも保有を続けて資産価値をさらに高めるのか。どちらに転んでも、ハワイ不動産市場の動きに大きな影響を与えることは間違いありません。

オアフ島のタートルベイ・リゾートもブラックストーンが2015年に買収し、2023年には680百万ドルで売却されました。こうした実績からも、ブラックストーンの投資戦略がいかに精緻で、ハワイの不動産がいかに世界的に注目されているかがわかります。




グランド・ワイレアのリファイナンス詳細

ブラックストーン、借入を10億ドルに再構成

ブラックストーンは、グランド・ワイレアの既存債務を再構成し、新たに10億ドルのローン契約を締結しました。これにより、従来の8億ドルの債務が解消され、さらに約1億8160万ドルの自己資本を回収する形になりました。

2018年の買収時には、JPモルガン・チェースおよびドイツ銀行から5億1000万ドルのモーゲージローンを受けており、今回の再融資はその返済期限(2024年8月)を前にした戦略的な動きと言えます。

ホテルの価値は16億ドル、1部屋あたり200万ドル

不動産評価会社コースターによると、グランド・ワイレアの総価値は現在16億ドルとされ、1室あたりの評価額は200万ドルに達します。これは、ブラックストーンが実施してきた大規模な改修やアップグレードの成果であり、高級旅行者からの安定した需要が見込まれている証でもあります。

高級ホテル市場の特殊性と今後の動向

ホテル業界のコンサルタント、キース・ビエイラ氏は「グランド・ワイレアのようなホテルは市場でも特異な存在であり、全室オーシャンビュー、広い客室、充実した会議施設を兼ね備えている。高級市場向けに特化した設計のため、常に高いパフォーマンスを維持している」と評価しています。

一方で、不動産コンサルタントのケビン・オーセロ氏は「このクラスのホテルの買い手は限られており、ハワイ市場の特性もあるため、すぐに買い手が見つかるとは限らない」と指摘。売却するにしても、時間をかけた慎重な交渉が必要になると見られています。

ブラックストーンの過去のハワイ投資実績

ブラックストーンは、2018年にグランド・ワイレアを取得したのと同年、オアフ島の「タートルベイ・リゾート」も3億3250万ドルで購入。その後、2023年8月にホスト・ホテルズ&リゾーツに6億8000万ドルで売却するなど、投資回収に成功しています。

こうした動きからも、ブラックストーンはハワイの高級リゾート市場で着実に成果を上げており、今回のグランド・ワイレアのリファイナンスも「次の一手」への布石とも言えるでしょう。

ハワイ不動産市場への影響と私の考察

私自身、ホノルルで生活している身として、こうした大型投資の動きはハワイの経済や雇用、観光業に大きな影響を与えると感じています。特に高級ホテルの開発や再評価は、世界中の富裕層を惹きつけ、地域経済の活性化につながる一方で、地元住民にとっては「物価上昇」や「不動産価格の高騰」といった課題も生まれます。

ハワイの未来が「観光と高級リゾート一辺倒」になるのではなく、地元住民が安心して暮らせるバランスの取れた社会であってほしい。そんな想いを持ちながら、今後もこうした不動産市場の動きをウォッチしていきたいと思います。

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