【アメリカ】AIと詐欺求人が壊す就職市場のリアル

求人詐欺とAIに振り回される就活。今の若者たちの苦悩に共感した

私自身、ハワイの企業で働いていますが、最近は若手社員や転職希望の知人たちから「まともな求人が見つからない」「応募しても反応すらない」といった話を頻繁に耳にするようになりました。正直、数年前までこんなに混沌としていた印象はありませんでした。

特に気になったのは、最近の若い求職者が直面している“求人詐欺”や“AIによる選別”の話。今回読んだClarify Capitalの調査結果でも、約半数が詐欺求人や幽霊求人(企業が実際には採用するつもりがない架空の募集)に出くわしているとのこと。さらに、AIが履歴書を自動でふるいにかけているため、人間に見てもらえる前に落とされてしまうケースも多発しているようです。

私が社会人になった頃は、少なくとも応募すれば人間が見てくれて、面接まで進める感覚がありました。しかし今は、AIが応募者を選別し、求職者もAIで大量応募。もはや「人と人」が出会う就活の本質が見えにくくなっていると感じます。





求職者の約半数が詐欺や幽霊求人に遭遇

Clarify Capitalによると、調査対象者の46%が詐欺求人に出会ったと回答。さらに44%が「実際には採用予定がない幽霊求人」に応募していたとのこと。求職者の推定では、なんと35%の求人が幽霊求人であると考えられています。

こうした虚偽の求人に引っかかると、単なる時間の無駄だけでなく、履歴書の準備、面接練習、交通費など、精神的・経済的な負担も発生します。実際、米国では求職者が週平均9時間を就職活動に費やしているとのデータもあります。


AIによる“自動ふるい落とし”がもたらす非人間的な選考

最近の就活の最大の変化は、AIによる応募のスクリーニングとレジュメ生成です。ある応募者はAIを使って1万件の応募を数日で送り、一方で企業側も1万件の応募をAIで200人に絞り込んだ事例が報告されています。

これにより「優秀な候補者でも人間の目に触れる前に落とされる」ことが問題に。Clarify CapitalのCEO、マイケル・ベインズ氏は「ボットが履歴書を作り、ボットが落とす。良い候補者でも人に見られず終わる」と警鐘を鳴らしています。


若年層には“ゲーム開始前に詰んでいる”感覚も

Gen Z(Z世代)にとってはこの状況が非常に深刻です。Jobrightの調査によると、新卒者の65%が「50回以上の不採用を覚悟している」とのこと。また、実際に294回の応募でやっと1つ内定が出るのが平均的な数字だそうです。

さらに、90%が貯金がなく、わずか18%しか仕事を得られていないというデータもあり、現代の就活は「希望よりも失望」が先行してしまう状況です。


「もう普通の手段では仕事にたどり着けない」

Checkrによる2024年2月の調査でも、58%が「普通の求人サイトでは面接すら難しい」と回答。また**66%が「幽霊求人に応募した経験がある」**と答えています。

しかも、人とのコネなしで対面面接にたどり着くのはほぼ不可能だという意見も6割以上あり、就活の“公正さ”が完全に失われているように思えます。


テクノロジーで効率化されたはずの就活が「不透明な迷宮」に

AIや自動化技術は本来、就職活動をより効率的にするためのものでした。しかし、実際には大量応募・自動ふるい落とし・架空求人の蔓延により、「効率化」が逆に**“本当に出会うべき人と仕事”の機会を減らしている**ように感じます。

採用する側にとっても、本当に必要な人材を見落としている可能性があるため、長期的には企業側にも損失が出るかもしれません。


ハワイの就活市場にも忍び寄る同じ波

ハワイという土地は求人市場が独特で、観光業や医療、ITなどに偏っていますが、それでもリモート求人や外資系の募集は増えており、AIを利用した選考は確実に浸透しつつあります。私の周囲でも「応募しても返事すらこない」という話は当たり前になっており、同じような問題がローカルにも広がっていると肌で感じています。


まとめ:本当に必要なのは「信頼」と「人間性」

今回の一連の調査から感じるのは、「求職者と企業の間にある信頼関係」が崩壊しかけているという現実です。効率や技術が先行するあまり、人間的な判断や温かさが失われ、「希望を持って就職活動をする」こと自体が難しくなっているのではないでしょうか。

テクノロジーと上手に付き合いながらも、求職者の不安や信頼を取り戻す仕組み作りが今後の課題になると私は思います。

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